職人が施す手仕事
桜鯛の酢締め 仕込み工程
1. 下処理
- 桜鯛を三枚に卸す。
- 腹骨をすき取り、血合い骨を骨抜きで丁寧に抜く。
- 皮をつけたまま仕込むのが基本。皮目に旨味があるため。
2. 塩締め
- 両面に粗塩をしっかり振る。
- 冷蔵庫または涼しい場所で30〜40分置く(身の大きさによる)。
- 余分な水分と臭みを引き出す工程。
3. 水洗い
- 時間が経ったら塩を洗い流し、清潔な布で水気をしっかり拭き取る。
4. 酢締め
- 合わせ酢に浸す。
- 米酢(または赤酢)
- 少量の塩
- 砂糖(ごく少量、まろやかさを加える)
- 漬け時間は15〜30分程度(鯛は淡白なので長く締めすぎない)。
5. 仕上げ
- 酢から上げ、水分を拭き取り、皮を軽く炙る場合もある(香りと旨味を引き出す)。
- 寿司ダネにする場合は、必要に応じて昆布締めにして旨味を重ねる手法もある。
- 切りつけはやや厚めにし、しっとりした食感を活かす。
ポイント
- 鯛は身がしっかりしているため、塩締めをやや長めにしてから軽く酢で締めるとバランスがよい。
- 春の桜鯛は脂が程よくのり、身質が華やかなので、酢を強く効かせすぎないのがコツ。
- 江戸前寿司では「白身を春に楽しむ粋な仕込み」とされ、見た目の淡い桜色も季節感を演出する。